3年ほど前から爆発的に大流行したものといえば、なんでしょう?

突然現われ、わらわらと流行し、あちこちのメーカーにも広がり、
国内のあちこちから生み出され、中国からも入ってきた、不思議な形のアレ。
マスコミにも取り上げられ、一部ではパニック(?)のような状況も見受けられたアレ。
こうしてみると、新型のウイルスのようにも見えますが、
今回は「タジン鍋」を取り上げてみます。

タジン鍋とは、北アフリカ、特にモロッコの料理「タジン」に使うお鍋です。
形状はとってもユニークで、平たいお皿のような鍋にとんがり帽子のような蓋が載っています。
タジン料理は、肉や野菜の水分のみを使い、そこから出る水蒸気がとんがり帽子の中で結露し、
水滴となって鍋に戻るという循環を繰り返すことで、蒸しあげる料理です。

野菜が素材のおいしさを失わずにたくさん食べられ、水分が少ないため、ビタミン・ミネラルの喪失もすくなく、
熱の通りが良いので、油の使用も控えられるとあって、現代のヘルシー路線にジャストフィット。
一時は猫も杓子もこぞって、タジン鍋新商品を作り出したものでした。

さてさて、本題です。実際に、某インターネットサイトの質問サイトにあった質問をご紹介。

「最近、流行の『タジン鍋』ですが、蓋の部分に穴が開いたものと、穴が無い物があるようです。
用途などによって違いがあるのでしょうか」

この質問、私自身も3回ほどお客様に聞かれたことがあります。

確かに「なぜ穴が?」と思いましたです、はい。

実際に国産メーカーのタジン鍋には、穴が開いているものがいくつかあります。
でも、一番人気の「エミールアンリ タジン鍋」をはじめ、海外製のものには穴はないようです。
この違いはなんでしょうか。

以前、岐阜県の産地の仕入先の方に聞いてみました。
私:「どうして穴があいてるんでしょうか」
岐:「水蒸気を適度に逃がすためですわ」
私:「でも、タジン料理って、もともとは無水調理で、素材からでる水分だけで蒸すものですよね。
逃がしちゃっていいんでしょか?」
岐:「穴開けても全部逃げてしまうわけじゃないし、十分料理できるようですよ。」
私:「そういうもんですかぁ」
岐:「それに、飲食店では本当のタジン料理ではなく、アレンジしたメニューをタジン鍋で出すという
演出的な使い方も多いようですよ」
私:「確かに」
岐:「そうなると、穴のないタジンだと、吹きこぼれたり、蒸気で蓋がカタカタいってしまったりという
ことがあったので、蓋に穴をあけた商品が出てきた、と聞いてますわ」
私:「なるほどねぇ〜」

言われてみると、タジン料理を出す飲食店様は、タジン料理そのものよりも、その形のユニークさ、
インパクトに魅力を感じていらっしゃいました。
であれば、オリジナルを踏まえつつ、機能的に改良していこう、というのが日本人のものづくりですねぇ。

現在は穴の開いていないものも沢山ありますが、穴明きタジンってのも、日本らしいアイテムの一つ、
といえるのかもしれないです、はい。

ちなみに我が家のタジン鍋、穴、開いてます。